夜の姫は、夜王子の夢を見る。
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 そして、今に至る。

 ベッドに座った夜王くんの隣に座ったら、なんでか押し倒されたのだ。

 ―夜王くんっ……何考えてるの⁉

 勝手に赤くなっていく私の顔を見て、夜王くんはぐいっと顔を近づける。

 ふわっと夜王くんの良い匂いが、さっきもだけれど鼻をくすぐって、私はびくり、ぞわっと体が反応する。

 そして、どきどきどきどき心臓が跳ね上がる。

 夜王くんが近づくたびに、体がぞくっと反応してしまって、妙に意識してしまう。

「夜王、くん……?」

「俺、もう止めらんないかも」

「止められっ……? ……ん、あっ……ほあっ……よおっ、く……やっ……」

 言葉を私が放つ前に、夜王くんは、今度は吸血じゃなくて、キスを私の首に落とす。

 そこから舌でぺろりと舐められて、また変な声を出してしまって。

 また、気持ち良さを感じてしまう。

 でも、さっきの吸血とは違う、体全体が反応している。

 舐められるたび、感情が高ぶる。

 いわゆる、発情というもの。

 ―んんっ……や、あっ……夜王くっ、そこ……だめっ……。

 私の体は、さっきから熱くなって、びくっと反応して。

「とろけてる顔、たまんない」

 夜王くんは、意地悪だ。

 容姿完璧、クールな夜王くんの、誰も知らない一面。

 そういえば、吸血衝動をずっと抑えていた吸血鬼が初めて血を飲むと、その飲んだ相手に襲いかかるらしい。

 多分、それを行ってしまっているのだ、夜王くんは。

「よお、う、くん……」

「んー、亜嵐って呼ぶまで、やめない」

 わがままな夜王くん。

 従うしか、無いのだろうか。

 ぎゅうっと、すがりつくように夜王くんのシャツに手を掴ませる。

 ―夜王くっ……嫌っ……。

 体がもう、唇にキスしてもらわないと抑えられなくなっている。

 気持ちよくして欲しい。

 もっと、そのわがままと意地悪が欲しい。

「あらん、くん……っ」

「ん?」

 優しく、微笑む彼。

 未だに私の首を弱点だと分かったのかキスし続けているが、私は涙で潤んだ瞳を向けて、亜嵐くんに訴える。

「キス……して……」

「虐めすぎたか」

 そうして、亜嵐くんは首キスをやめて、そうっと唇を顔の方へと持って行く。

 もう、キス欲が強すぎる。

 こんな風に、変態のような体になってしまった私の体を、支配するのは亜嵐くんだけ。
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