君の優しさは__私だけが守るから。

患者

「漆葉さん!」

嬉しそうに笑顔を見せるのは、後輩の 笠戸鞠(かさとまり)

「次、お昼ですね!」

「あ、そうだったっけ。」

じーっとこっちを見つめている。もしかして、誘って欲しいのかな……。

「一緒に食べようか。」

「はいっ!」

待ってましたとばかりに彼女は言った。名前通り、よく弾む鞠みたいだ。

病室に入って、一人一人の腕に針を刺す。抵抗なく、スッと肌を通り抜ける感覚が、まだ私は怖い。

昔、注射が嫌いだったせいだ。泣いて、喚いて、暴れて。挙句は逃げ出してしまったと両親は言っていた。
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