恋のリミット宣言⁉︎
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結局、あのあと遅刻したのは私だけだった。
みんな、私のことを見捨てて走っていってしまったから。

...........まぁ、もともと私が起きるのが遅かったことが悪いんだけどね。



先生にぶつぶつと文句を言われながら教室に入ると、

「おはよ、瑞希」

と言って、親友の御上愛梨(みかみあいり)がポンと肩を叩いてきた。

「愛梨!おはよう!」

私はニコッと笑いかける。


愛梨(あいり)は、高校一年生の時からの友達で、たまたま前の席になった時に、愛梨から話しかけてくれた。その時、同じゲーム(リアトク)をやっていることがわかって、仲良くなったの。それに、愛梨はサラサラな黒髪は腰くらいまで伸びていて、ぱっちりとした綺麗な目が特徴の美少女!!

めちゃくちゃ自慢の友達なんだ!!!!



私が自分の席に座ると、すかさず愛梨がコソコソっと耳打ちしてくる。

「ねぇ瑞希、村上先輩とはどうなの〜?」

そうニヤニヤ顔で聞いてきた。

「え⁉︎は、⁉︎」


「昨日、二人で話したって言ってたじゃない」

「そ、そうだけどっ」

しどろもどろになって、舌が回らない。

「告白したらどーよ。こんなにかわいい瑞希に告白されて断る男なんていないわ!!」

堂々と言い切る愛梨。

そ、そんな.....!!
勇気なんて、ないよ.........っ!!



私はブンブン首を横に振る。

「そーお?つまんないなぁ〜」
愛梨はストレートの髪の毛を指でくるくると巻いて遊びながら、そう言った。



——————————村上先輩。

私の、好きな人。
陸上部で、笑顔で走っている姿が魅力的で。
高校一年生の時、放課後の教室から見える、楽しそうに走る村上先輩に、一目惚れした。

あれから一年。村上先輩に好きになってもらえるように、頑張っているんだ。



こぶしを握りしめている私を見て、愛梨はつぶやく。

「ねね、瑞希。村上先輩のマル秘情報教えてあげようか?」

「えぇっ⁉︎」

愛梨はとても情報通。なぜかはわからないけど、学校中の誰も知らないようなことも知っているの。

そんな愛梨の、村上先輩の、マル秘情報。

.......................絶対聞きたいに決まってる!!!!



「愛梨!教えて!」


「いい食いつき〜」と言いながら、愛梨は声をひそめて私にささやいた。


「村上先輩、今、彼女いないらしいよ〜」


!!


先輩に、彼女が、いない.........................っ⁉︎

あんなに素敵な先輩に⁉︎


「し、か、も!ちょうど今日、陸上部では短距離測定があるらしいわ」


「!」

こんなにタイミングよく⁉︎



「見に行ったらどう?」


「ぅ、うん..........っ!」


「ふふっ、今日がチャンスね〜」


そう微笑んで私を見つめる愛梨。

目からは、“告白しなさいよ!!”というメッセージが伝わってくる。


ち、チャンス........................か。


私の胸は、ドクドクと速く波打っていた。

















————————千颯がこちらを見ていたことに気づかないほどに。
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