恋のリミット宣言⁉︎
「それでは、これから、測定を始めます」

陸上部顧問の前田先生がアナウンスしている。


最初から、村上先輩が走るらしい。

(き、緊張する...........っ)
私が走るわけじゃないのに。

村上先輩のことを思うと、なぜか緊張してしまう。





そんなこんなで、陸上部の人たちの準備ができたため、測定が始まった。



ゴール地点には、ストップウォッチを持った先生たちが並んでいる。


村上先輩がスタートについたことで、観客たちは盛り上がる。



「村上ー!行けー!」


「光輝ー!がんばれー!」


「はしれーーー!」


大きな声たちに対して、私は小さな声ですら出せなくなっていた。







(が、がんばってください........っ!!)

握った手に汗が滲んでくる。



「では。——————よーい、」


パンッ



エアーピストルの音と同時に、先輩が走り出す。



「わ、ぁっ.......!」

すごい。肩で風をきるように、私たち見物者の前を颯爽と走り抜けていく。
速い、速い、速い。


私が教室から見ていたときのように、綺麗なフォームで。


———————とても、とてもカッコよかった。








その後も、何人かの生徒が走ったらしいけれど、私は先輩に見惚れたまま、ずっとボーッとしていた。


「瑞希、見る気ないでしょ........」
と、愛梨が呆れたように私を見ていた。







だって、しょうがないじゃん。


あんなにかっこいい先輩を見ちゃったら、もう、他の人のことも考えられなくなるよ...........!!






ずっと突っ立っている私を見兼ねたのか、愛梨は声をかけてきた。


「村上先輩に告白するなら、今だよ?」


はっ


(そ、そうだった.............)



やっと我に帰った私は、愛梨に聞いた。




「先輩、いつ帰るか知ってる⁉︎」




すると、愛梨はニヤッと笑った。






「いつもなら、今、学校を出る頃よ」
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