恋のリミット宣言⁉︎
はぁっ、はぁ、はぁ。



バス停の椅子で、先輩がバスを待っているのが見える。





愛梨の言う通りだ。



これは、チャンス。私から先輩に、想いを伝える、チャンスなんだ。






すーっと深呼吸して、私は話しかける。






「村上先輩」





先輩は驚いたように私の方を向き、そして、ニコッと笑った。



「びっくりした〜、瑞希ちゃんか」




瑞希ちゃん、!


名前で呼んでもらえたのが嬉しくて、胸がきゅんとする。



「どうしたの?」


こてん、と首を傾げる先輩に、またきゅんとしてしまった。






「あの、先輩。言いたいことが、あるんです」






「え?」







緊張して、足が震えだす。


(どうしよう、告白って、どうすればいいんだっけ..........?)





「瑞希ちゃん?どうしたの?」


先輩は、混乱している私を心配そうにのぞいてくる。





先輩は................。

先輩は、私の気持ちを受け止めてくれるかな..............。






キモいって思われたら、どうしよう。















怖くて、下をむきそうになったけど、こらえた。





スッと深呼吸。

————————大丈夫。

告白することなら、私にだってできるはず。



(フラれても、笑おう)


前を向くために。







胸に手を当てて、自分を落ち着かせる。




そして、私は口を開いた。






「あの、私..........、せ、先輩のことがっ、す、すき、です........」





勇気を振り絞って言った告白。




「え......⁉︎」







最初、先輩は驚いていたけど、「ありがとう」と言って笑って。






「ごめん。今は忙しくて、恋愛のこと、考えられない」





そうきっぱりと言い切った。





ううん、先輩。


聞いてくれただけで、本当に嬉しいです。




「..........い、いいえっ!こちらこそ、聞いてくれてありがとうございました..........っ!」









涙を必死のこらえて笑う。






先輩には、弱いヤツだと思われたくなくて。






泣かないように、必死に唇をかむ。






(あぁ、私の顔、ひどいだろうなぁ........)





フラれても、大丈夫だと思っていたのに、案外弱かった自分に驚く。






ごめん愛梨。
一生懸命、応援してくれてたのに。


私、フられちゃったよ。










「で、ではっ!」









その場から逃げるように走り去る。







先輩は、何かを言っていたけれど、振り返ることができなかった。














堪えていた涙がせきをきったように、ボロボロとこぼれて。






その涙が少し温かくて。





先輩との思い出が溢れて、もっと泣きそうになった。
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