【完結】あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。
 ノイマイヤー侯爵夫人は優しいまなざしで私を見た。内心ちょっと驚いた。男爵家の令嬢ということで、門前払いされてもおかしくないのに、守ってくれる、なんて……

 私が「ありがとうございます」と口にする前に、ライナルトさまが口を挟んだ。

「そんな当然のことを言わなくても……」

 当然……?

「あら、きちんと宣言したほうが良いのよ、こういうことは。ねぇ、安心できるでしょう?」
「え、ええと……。ま、守っていただけるのはとてもありがたいです」
「ほらね?」
「あの……ええと、ただ、守られるだけはイヤです」
「……?」

 ライナルトさまも、ノイマイヤー侯爵夫人も、不思議そうに私を見た。

 ちらりとノイマイヤー夫人を見てから、ライナルトさまに視線を移す。

「私だって、ライナルトさまをお守りしたいのです」

 彼が傷つくのはイヤだ。私になにができるのかと問われると、答えることはできないけれど――……

「クラウノヴィッツ男爵令嬢……いえ、名前で呼ばせてちょうだいね、レオノーレ。あなたはすでに、ライを守っているわ」
「……え?」
「殿下の護衛は、危険も(ともな)うわ。ライは何度も死にかけたことがあるの。それを救ってくれたのは、クラウノヴィッツの薬よ」

 し、死にかけた……!?

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