【完結】あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。

お披露目

 ヴェルナー殿下とナターリエさまとのお茶会は、そんな感じでなんとか終わり、……なぜか翌日からいろいろな名門貴族からお茶会の招待状が届いた。

 私とライナルトさまが婚約したからか、はたまた王城でのお茶会に招かれたからかはわからないけれど……

 今まで私にちっとも興味を抱かなかった人たちが、こぞって興味を示してくる。

 そのことがなんだか……、あまり嬉しくない。

 そりゃあ、男爵令嬢の私が侯爵家に嫁ぐのだから、面白く思わない方々もいらっしゃるのだろうけど……

 もやもやと考えていると、ライナルトさまが会いに来てくださった。

「浮かない顔をしているが、なにかあったのか?」
「ライナルトさま……そうですね、いろいろと。複雑な気持ちになっています……」

 もしかして、私のことを心配してくれているのかな?

 そう思うとなんだか嬉しくなった。我ながら単純ね!

「今度……両親がパーティーを開くんだ。そのときに、来てくれるか?」
「えっ、パーティー? わ、私が参加してもよろしいのでしょうか?」
「きみは俺の婚約者だろう」

 ライナルトさまの口から、『婚約者』という言葉が出てくるのって、なんだか不思議。

 未だに実感がない。

 今この瞬間だって、夢なんじゃないかないかって思ってしまう。

 ……夢じゃないのは、わかっているのだけど……

「ええと、では……参加します」
「ああ。そのことで、母から提案があるんだ。……パーティーまで一ヶ月あるので、ノイマイヤー侯爵邸で暮らしてみてはどうか、と」
「……はいっ!?」

 今、なんかすっごいこと言わなかった!?

「パーティーではきみのことを婚約者として紹介するつもりだ。母がそれまでにいろいろなことを教えてあげたい……と」

 いろいろなことってどんなことですか!? と心の中で叫びつつ、その提案自体はとてもありがたいことだと思う。

 だって、侯爵家のパーティーだもの。

 いろいろな人がいらっしゃるだろう。
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