【完結】あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。

デート 1話

 ライナルトさまの婚約者としての初舞台が終わった日、ノイマイヤー侯爵たちが褒めてくださった。

 ……それにしても、本当に緊張したわ……

 疲れただろうから、今日はゆっくりと休みなさい、と言われて、私は頭を下げてその場から去る。

 ライナルトさまが部屋まで送ってくれた。

「レオノーレ」
「はい?」
「……その、今日はありがとう。なにかほしいものがあるなら、言ってくれ」

 思わずライナルトさまを凝視してしまった。ほしいものがあるなら? パーティーをがんばったごほうびをくれるってこと?

 ほしいもの……?

 あ、ひとつだけ思い浮かんだわ。でも、これはわがままかしら……?

 それとも、快く承諾してくださるかしらね……?

「……では、ライナルトさま。お願いをしてもよろしいでしょうか」
「ああ」
「私と一緒に、一日デートしてください!」
「……は?」

 勇気を振り絞って出した言葉に、ライナルトさまは呆気にとられたような顔をした。

 急だったし、ダメかしら……?

 少し考えるように顎に手をかけて、ライナルトさまは首を傾げて問う。

「本当にそんなことで良いのか?」
「『そんなこと』なんて! 私にとって、ライナルトさまと一緒にいられる時間はすべて宝物です!」
「そ、そうか……」

 ぐっと前のめりになりながら力説すると、ライナルトさまはほんのりと頬を赤らめた。
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