【完結】あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。
 ……なんて、ただ単に私がライナルトさまと一緒にいたいだけなのだけど……

 それに、ライナルトさまはたぶん知らないと思うの。あの湖のちょっとしたジンクス。

 ――夕日が沈みゆくときに告白をして結ばれた男女は、末永く幸せになれる――……

 乙女チックだとは思うけど、そんなジンクスに縋りたい。

 私はライナルトさまが傍にいてくれるだけで幸せだけど……できれば、彼にも幸せを感じてもらいたいから――……

 そんなことを考えながら、馬車に揺られていると、すぐに湖についた。

 恋人っぽい人たちがちらほら見える。

 さすがデートスポット……!

「ライナルトさま、お弁当を食べませんか?」

 ……用意したのは、料理長だけど……

「ああ、そうだな」

 ライナルトさまがお弁当を持ってくれた。そして、馬車から降りて木陰でお弁当をたべることに。

 料理長が渡してくれたお弁当の量はかなり多くて、こんなに食べられるかしら……と不安に思ったけれど、ライナルトさまがぺろりと食べてしまった。

 男性だから、かな? なにも言わないで真顔で食べている姿は、なんだか可愛く見える。

 お弁当を食べ終わり、ただまったりとした時間が流れた。
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