【完結】あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。
 そのうちに、うとうととし始めたライナルトさまに、声をかける。

「ライナルトさま、よろしければ、私の膝に頭を置いてください」

 私との時間を作るために、いろいろと忙しくしていたのを知っている。ナターリエさまが教えてくれたのだ。

 ライナルトさまは眠気でぼんやりとしているようで、素直に私の膝の上に頭を置いて、眠り出す。

 内心きゃぁぁああっと叫びながら、彼の寝顔をたっぷりと堪能した……眠っているだけなのに、どうしてこんなに格好いいのかしら……?

 目を閉じると幼く見えるわね。

 本当、どうしてみんなライナルトさまを怖がるのかしら! こんなに格好よくて可愛らしいのに!

 そんなことを考えながら、ライナルトさまが目覚めるまで、彼の寝顔を堪能することに決めた。

 ――それから数時間後、私のほうがライナルトさまに起こされた……

「も、申し訳ございません……」
「いや……、きみのおかげで休めた。重かったろう、悪かったな」
「いえ、そんな、幸せでしたっ」

 わたわたと言葉を紡ぐと、ライナルトさまはキョトンとした表情を浮かべて、すぐに微笑む。

 何時間くらい眠っていたのか、すっかり夕暮れだ。
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