始まりは愛のない契約でしたが、パパになった御曹司の愛に双子ごと捕まりました

もう萌にとって家族と呼べる相手はいない。家族になろうと言ってくれた彼の元を去った今、お腹の中に宿ってくれた子供たちが、萌の唯一の光に思えたのだ。

ふたりに会いたい。そう思ったら、とても中絶する道は選べなかった。

出産すると決めた時ばかりは、晴臣に連絡するべきではないかと心が揺れた。責任を取ってほしいとか養育費がほしいとか、そんな理由ではない。

自分の選択が、生まれてくる罪のない子供たちから父親を奪ってしまう罪悪感に苛まれたのだ。

けれど父親がいない分も自分がたっぷりの愛情で育てようと決意し、ひとりで生む選択をした。

もちろん楽しいことばかりではなかったけれど、今はとても充実した幸せな日々を送っている。

朝起きてすぐに洗濯機を回し、三人分の朝食を用意する。最低限の身支度を整えているうちに、二歳になったばかりの双子が揃って目を覚ますのが毎朝のルーティーンとなっている。

肩につく長さになった髪を小さな手で梳かしている姉の光莉と、まだ眠いのか目を擦っている弟の陽太。ふたりが毎朝、寝室から手を繋いでとてとて歩いてくるのが可愛くて仕方ない。

パンパンに膨らんだふたりのおむつを替え、テーブルに直接取り付けるタイプの子供用の椅子にそれぞれ座らせると、すぐに「よーた、あむあむするー」「ひかりもー、あむー」と朝食の催促が始まる。

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