始まりは愛のない契約でしたが、パパになった御曹司の愛に双子ごと捕まりました
今日の朝ご飯は軽く焼いたロールパンとだし巻き卵、ほうれん草のごま和えに、フルーツの入ったヨーグルト。飲み物は牛乳。
双子といえど二歳になると個性が出てくるもので、食べる順番も性格がよく表れる。
光莉はよく考えてから行動する慎重派で、好きなものは最後に残しておくタイプ。一方、陽太は感情のままに動く直情型で、はじめに好物やデザートを食べたがる。
性格は真逆のようなふたりだがケンカすることもなく仲良しで、よくセリフや行動がピッタリと重なるのが双子ならではだと不思議に感じた。
それぞれ食事のフォローをしながら合間に萌自身もパンを食べて、食事が終わると保育園へ行く準備に取り掛かる。
バタバタと慌ただしく双子の用意に時間を取られるため、萌自身の身支度は必要最低限。顔を洗って、日焼け止めとパウダーをはたき、眉を描き、色付きのリップを塗るだけ。それでも四つ葉のネックレスだけは毎日欠かさず身につけている。
未練がましいと自分でも思う。けれど晴臣からもらったこのネックレスだけは捨てられなかった。
「マーマ。きょう、かきかきしゅるー」
「かきかき? あぁ、お絵描きの日? 陽太はなにを書くの?」
「ぶーぶー! パパ、ちゅくってる?」
歩いて保育園へ行く道すがら、無邪気な陽太の言葉に一瞬固まった萌だが、すぐに笑顔で頷いた。