美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
6.本音を打ち明けて

唐突な再会の翌週。四月の第二火曜日。週末の雨で桜はほとんど散ってしまったが、今日はうってかわって初夏の陽気を感じさせる快晴だ。

「光莉、陽太。いっぱい遊んでおいでね」

土日は雨のせいで外遊びができなかったため、今朝は早くから「しゅー、する!」「ぶらんぶらん!」と、すべり台やブランコで遊ぶのだとテンションが高い。

保育園の靴箱の前でひとりずつハグとハイタッチをして見送ると、いつものように「ママも、いったっしゃー」と手を振ってから駆けていく。

今日も無事に双子を保育園へ預けると、来た道を引き返して職場へ向かった。

四月といえば、萌が担当する経理の仕事は決算処理で忙しい時期である。日々の通常業務に加え、一年間の伝票データからその年の損益を集計し、年次決算資料を作成しなくてはならない。

以前は事務員の竹内が事務所や工場の備品の管理や来客対応、経理、さらに社員旅行の手配までひとりでこなしていたらしいが、萌が入社してからは経理と来客対応は萌が彼女のあとを引き継いでいる。

以前の会社でも同じような業務を担当していたため、仕事を引き継ぐ際に竹内を煩わせずにできたのが幸いだった。

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