美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
(どうしてここに……?)
双子のお迎えは理恵に頼んだはずだ。なぜふたりが康平といるのかと彼を見れば、康平の鋭い視線は晴臣に向けられている。
シングルマザーとして双子の子育てに奮闘する萌を間近で助けてくれているせいか、康平はふたりの父親にいい感情を抱いていなさそうだった。
田辺や康平には双子の父親が晴臣だとは話していないが、先日初めて晴臣が来た際の萌の様子を見てなにか察しているのだとしたら、今の状況は限りなくまずい。
この場をどう切り抜けたらいいのかと頭をフル回転させていると、康平が萌に視線を移して小さく微笑んだ。
「保育園から帰る途中、萌が見えたから迎えに来た」
「待って、理恵さんにお迎えを頼んだんだけど」
「用事があって半休を取ってたから俺も一緒に保育園まで迎えに行ったんだ。ふたりが今日の夜はみんなでうどんが食いたいって言うから、おふくろは先に帰って準備しておくってさ」
「ママ、ぼくめんめんたべる」
「ひかりもー」
呆然とする萌の手を取り、陽太と光莉はキャッキャと要望を伝えてくる。
なすがままにブンブン腕を振り回されながら、萌は恐る恐る晴臣を振り返った。