美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
(どうしよう。お願いだから気付かないで……!)
祈るように晴臣の顔を窺うと、声を失くしたように絶句している。
改めて見ると、双子の顔立ちは本当に彼によく似ていた。おそらく晴臣の子供の頃の写真を見れば、目の前のふたりと同じ顔をしているのだろうと想像がつく。だからこそ晴臣がなにを考えているのかが手に取るようにわかった。
動揺して頭が真っ白になり、どうすべきかまったく考えられない。そんな萌の背中を、康平がぽんとたたいた。
「ほら。ふたりも腹減ってるだろうし、帰ろう」
「康平くん……」
晴臣の存在を無視して萌を連れ帰ろうとする康平に困惑していると、それを引き留めたのは晴臣の硬い声音だった。
「萌、君の子供なのか?」
晴臣は立ち上がり、萌と両サイドにいる陽太と光莉を交互に見比べる。話したくないとはいえ、双子の前で自分の子ではないなんて酷い嘘はつけない。
「はい」
「双子か……父親は?」
予想していた質問だが、まだどう答えるべきか正解が見えていない。いずれ双子には父親について話さなくてはならない日が来るとわかっているけれど、それは今ではないはずだ。