美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

「でも萌があのネックレスをしていたから諦めずにいられたし、二度と離さないと決めた。今すぐに結婚してほしいと言いたいところだけど、萌の気持ちが追いつくのを待つ。まだ彼らに俺が父親だと明かしたくないのなら、それでもいい。でもこれからは俺にも関わらせてほしい。あの子たちを一緒に育てていく権利をくれないか」

実の父親であると知った以上、萌がなんと言おうと晴臣には双子にかかわる権利があるはずなのに、彼は無理強いすることなく確認してくれる。

萌を対等に扱い、意見を汲み取ろうとしてくれるところがとても好きだったのだ。それが鮮明に思い出され、胸が苦しくなる。

「で、でも東京と名古屋では距離が……晴臣さんはお忙しいでしょうし」
「新幹線で二時間もかからないよ。それに君たちと会えるなら、時間なんていくらでも作る」

そう力強く言われ、ひとりで頑張らなくてはと常にピンと張られていた緊張の糸が、少しだけ緩む。

「まずは来週、また来てもいいかな? 萌を口説き落とすためにも、ふたりに俺に慣れてもらうためにも、四人で出かけたい」

彼の腕に包まれたまま、顔を覗き込まれる。久しぶりに至近距離で見る彼は相変わらず端正で美しく、見つめられると意図せず耳まで赤く染まってしまう。

「晴臣さんは、本当にそれでいいんですか?」
「俺の希望はひとつだよ。萌と、陽太と光莉と、四人で家族になりたい。もちろん責任感なんかじゃない、萌を今でも愛してるから結婚したいと思ってる。でも萌の気持ちを無視して進めたりはしないから、今後のことはゆっくり決めていこう」

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