美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

その間に自分も手早く身支度を整え、しばらくふたりの奮闘を見守っていると、玄関のチャイムが鳴った。

(やだ、もうそんな時間?)

萌はリビングで着替えるふたりに「ここで待っててね」と言い置き、玄関へ急いだ。

わざわざ東京から名古屋まで時間を掛けてきてくれた相手を待たせるなんて申し訳ないが、事情を話して謝ろうと慌てて扉を開けた。

「はい。ごめんなさい、まだ」
「っと、不用心だな。返事しながら開けるなよ。ドアスコープ見てないの、足音でわかったからな」
「あれ、康平くん?」

扉の前に立っていたのは晴臣ではなく康平だった。

「おはよう。どうしたの?」
「あぁ。おふくろがたくさん作ったから持っていけって。つくねの照り焼きと、さつまいものポテトサラダ。どっちも三日くらいは保つってさ」

大きな保冷バッグをふたつ受け取りながら、萌はお礼を告げた。

「わぁ、嬉しい! 理恵さんの照り焼き大好き。ふたりは最近さつまいもにハマってるから、きっと大喜びしてすぐ食べきっちゃうと思う」
「この前その話を聞いたから作ったんだろ、きっと」
「なんだか催促したみたいで申し訳ないな」
「いいんだよ。遠慮せずに頼られた方が嬉しいんだから」
「うん、いつもありがとう。理恵さんにもよろしく伝えてね」

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