美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
すると、うしろから賑やかな声とともにパタパタと足音が聞こえた。
「ママー、きれたよー! あっ、こーくん!」
「ほんとだ、こーくん! あそぼー!」
「おー、光莉も陽太も相変わらず元気だな。遊ぼーって陽太、お前ズボン履けてねぇじゃん。ったく」
康平は抱きついてきた双子の頭をくしゃくしゃと撫でると、慣れた手つきで陽太のズボンを履かせる。
「ふたりとも、悪いけど今日は俺は遊べないんだ。理恵おばちゃんのご飯持ってきただけ」
「えぇーっ」
〝こーくん〟が大好きなふたりは、同じ顔で口を尖らせて不満を主張している。
「ごめんな。そのかわり、ママとこれからお出かけなんだろ?」
「あっ、そうだ」
「おでかけ! ママ、ひかり、うしゃぎしゃん!」
昨日からふたりには『ママのお友達とお出かけするよ』と伝えてある。晴臣についてどう伝えるか悩んだ結果、今日はまだ父親だと告げない選択をした。
その理由は、まだ萌自身が晴臣との再会を受け止めきれていないせいだ。