美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

陽太は興味津々で晴臣の足元に来て彼を見上げているが、光莉は人見知りが発動し、萌の後ろに隠れている。

晴臣はそんな双子に目を細めながら、ゆっくりと膝を曲げて彼らに目線の高さを合わせた。

「こんにちは。今日は俺も一緒にお出かけしたいと思ってるんだ。いいかな?」
「どこいくの?」
「そうだな。車もあるし、少し遠出してふれあいパークに行くのはどうかな?」

ふれあいパークとは、うさぎやモルモット、ポニーといった動物と触れ合える施設と、小規模な水族館が併設されている大きな県立公園だ。

敷地内の芝生広場には観覧車や園内を走るパークトレインもあり、子供たちが飽きずに一日中遊べる工夫が凝らしてあるため、家族連れに人気のある行楽地となっている。

ぴんと来ていないふたりに「動物さんのいる大きな公園だよ」と伝えると、陽太は「こーえん!」と大はしゃぎ。

光莉も公園遊びは好きだし、なによりうさぎが大好きだ。まだ動物園に連れて行ったことはないが、ショッピングモールに行くたびにペットショップに寄りたいとせがみ、ガラス越しにうさぎをじっと眺めている。

「たくさん遊べるし、うさぎさんに餌もあげられるよ?」
「うしゃぎしゃん?」
「うん。あとぺんぎんさんもいるの。晴臣さんがぶーぶーで連れて行ってくれるんだって。みんなで一緒に行こう?」

警戒心の強い光莉だが、うさぎの餌やりに心を惹かれたらしく、こくんと小さく頷く。それを見てほっとした萌以上に、隣の晴臣が安堵の表情を浮かべていた。

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