始まりは愛のない契約でしたが、パパになった御曹司の愛に双子ごと捕まりました
晴臣と一緒にいられるのならば、間違いなく萌は幸せでいられる。
今日の彼の様子を見ていれば、萌だけでなく双子も大切にしてくれるに違いない。
陽太は今日ですっかり晴臣を気に入っていたし、光莉も人見知りで緊張はしていたけれど、会う回数を重ねていけば保育園の生活のようにいつか慣れていくはずだ。双子にパパがいる日常を与えてあげたいという思いもある。
改めてプロポーズの言葉をくれた晴臣に頷いてしまいたいと思うものの、やはり気になるのは叔父一家の存在だ。
もしも萌が彼と結婚したと知れば、再びなにかよからぬことを言い出さないだろうか。
不正を告発したものの、重加算税が科されただけで逮捕には至らなかった。
守銭奴な健二と厚顔無恥な翔子のことだ。萌が晴臣と結婚したのだと叔父たちの耳に入れば、再びあれこれ理由をつけて繋がりを持とうと画策してくるに違いない。倒産寸前ならば、なおさらだ。
なにより歩み寄っていい夫婦になろうと心を砕いてくれた晴臣に対し、萌は相談もなしに身勝手に逃げ、結局桐生家に迷惑をかけた。いくら見合いの席で優しそうな印象を受けた晴臣の両親だろうと、そんな自分勝手な萌を快く受け入れるとは思えない。
その上、なにも言わず彼の子供を生んでいたと知られれば、どう思われるのか不安で仕方がない。
本心では嬉しいのに、どうしても素直に頷けない。この数年で強くなったと思っていたのに、途端に臆病な自分が顔を出す。