始まりは愛のない契約でしたが、パパになった御曹司の愛に双子ごと捕まりました

「ママ! はぁく!」
「はやくー、ママぁ」
「陽太、光莉、慌てて走らないの。転ばないでね」

足取りはしっかりしてきたものの、テンションが上がるとすぐに転んでしまうのが二歳児。

保育園の門をくぐった途端、待ちきれずに走り出した双子の背中に呼びかけた。

陽太は白いTシャツにデニムのハーフパンツ、髪には寝癖がついたままだ。一方、光莉は陽太とお揃いのTシャツにデニムのミニスカートを合わせ、その下にレギンスを履いたスタイル。肩につく長さの髪は、最近お気に入りのツインテールにして朝からご満悦だった。

よくこうしたお揃いのコーディネートを着せるせいか、散歩や買い物中に「双子ちゃん可愛いですね」と声を掛けてもらうことが多い。

男女の双子なため二卵性ではあるが、陽太と光莉はよく似ている。同じサイズの小さな子供がふたり手を繋いでいるだけでも可愛いけれど、陽太と光莉は親の贔屓目を差し引いても整った顔立ちをしていると思う。

ふとした瞬間の横顔や、ご飯を食べて「おいちい!」と満足そうに笑う顔など、ハッとするほど彼らの父親に似ているのだ。

そう感じるたびに、萌は端正な顔立ちをしている彼の面影を頭の中から追い出し、必死に忘れようと努力しながらふたりを育ててきた。

< 2 / 268 >

この作品をシェア

pagetop