美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

「ねぇ光莉。ここ嫌だ?」
「ううん。やじゃない」
「本当?」
「うん」
「じゃあ、晴臣さんと一緒だと緊張しちゃうかな?」

普段双子がかかわる大人は、萌や保育園の先生など圧倒的に女性が多い。幼い頃から面倒を見てくれている田辺や康平が例外なだけで、もしかしたら背が大きくて声の低い男性が怖くて緊張しているのかもしれない。

そう思ったが、その問いかけにも光莉は首を振る。

「あのね」
「ん?」
「……おみしゃん、パパ?」

泣きそうなほど小さな声で問いかけられ、萌は驚きに息をのんだ。

「え?」
「ママ、おみしゃん、パパ?」

繰り返される質問が聞こえたらしく、すべり台で遊ぶ陽太を支えていた晴臣も目を見開いてこちらを凝視している。

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