美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

光莉と陽太は二歳になったばかりで、大きくなったとはいえ萌にとってはまだまだ赤ちゃんのような印象が強い。

けれど、そうではないのだ。

もう彼らは自分の足で歩き、言葉を話し、理解力もある。自我も意思もあるひとりの人間だ。まだ幼いからといって、父親の存在についての説明を先延ばしにしていてはいけない。

萌が自分の認識の甘さを恥じていると、陽太を抱っこした晴臣が隣に腰を下ろした。

話すタイミングは今だ。萌と晴臣は視線を合わせ、大きく頷き合う。そして光莉と陽太に向き直り、彼らの手をしっかりと握った。

泣いている場合ではない。自分には母親としてしっかり説明する義務がある。

「ねぇふたりとも。ママと晴臣さんから大事なお話があるの」
「おはなし?」
「光莉と陽太のパパは、海の向こうでかっこいい車を作ってるってお話したでしょう?」
「うん」
「晴臣さんがね、ふたりのパパなの」

震えそうになる声でそう告げると、双子の視線が晴臣に移る。

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