美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

実際初めて四人で出かけた日にも、『改めて考えてみると、あまりいいママじゃありませんね』と自分を責めるような発言をしていた。

けれど双子の拙い言葉の意味を理解していたり、栄養のバランスを考えて野菜をうまく食べさせていたり、一日一緒にいれば彼女がいかに母親としてしっかり子供に向き合ってきたのかがわかる。

なにより、光莉も陽太もママが大好きだと全身で訴えている。日々愛されているからこそ、のびのびと真っすぐに育っているのだ。

大変な子育ての中でも一度も晴臣を頼らなかったのも、再会後なかなか結婚に頷かなかったのも、彼女の叔父たちの存在があったからに違いない。

萌と話してそう確信した晴臣は、ある調査を始めた。

秋月夫妻は中学生の萌を引き取ったが、養子縁組はしていない。

養子となれば戸籍上は彼らの子どもとなるため、養育費は自分たちで賄うことになる。しかし親族里親制度を利用すれば、自治体から毎月一定額の手当が振り込まれる。

萌の両親の死後、彼らは未成年後見人として萌に遺された遺産の管理をする立場を手に入れ、里親として自治体から子育て手当を受け取っていた。

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