美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

本来ならば成人した時点で、遺産は萌に引き継がなければならないものだ。

しかし秋月夫妻は遺産を引き継がずに横領しただけでなく、萌から搾取し続けた。決して許される行為ではない。

萌は自分の親族が迷惑をかけたらと怯えていたが、この調査の結果を利用し、二度と彼女に近づかないよう手を打つつもりだ。

(これからは四人で家族になるんだ。萌と子供たちを守り、父親として受け入れてもらえるように頑張らないと)

ふたりに自分が父親だと打ち明けた時は、ここ数年で一番緊張した。

陽太は比較的早く懐いてくれたが、光莉は警戒しっぱなしで打ち解けようにも会話すらままならない。

怖がらせるのも無理をさせるのも本意ではないため、会う頻度を増やして慣れてもらうしかないと考えていたが、光莉は晴臣が思っていた以上に色んなことを感じ取っていたようだ。

まさか彼女が『パパだったら、また海の向こうに行ってしまうかもしれない』と不安がっていたとは思いもしなかった。

女の子は情緒面の成長が早いと聞いていたが、二歳なりにたくさんのことを考えている。

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