美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
「俺から提案したんだ、迷惑だなんて思ってない。部屋は余ってるから互いにプライベートな空間は確保できるし、気になるようなら鍵をつけたらいい。それに、もし結婚すればいずれは一緒に住むんだ。早いか遅いかの違いだよ」
「結婚……」
「せっかくこういう縁があったんだから利用すればいい。もちろん俺にも君と結婚することでメリットがあるんだからお互い様だ」
まるで子供に言い聞かせるように優しい話し方が、萌の不安や戸惑いを少しずつ払拭してくれる。
「君が自立できる目処が立てば離婚する形でもいい。俺の方は一度結婚さえすれば、あとはうるさく言われないだろうしね」
そこで晴臣は一旦言葉を区切った。赤信号になり、車が停車する。
「色々俺の言い分ばかり言ってしまったけど。君は、萌はどうしたい?」
名前を呼ばれ、運転席から真っ直ぐな眼差しに射抜かれた。意見を求められるなど、ずっと忘れていた感覚だ。
必死に考えを巡らせようとするが、翔子や玲香の鬼のような顔が浮かび、なかなか言い切ることができない。
「ほ、本当に、そんなことをしていいんでしょうか?」
「いいか悪いかじゃない。萌がどうしたいかだよ」