美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
2.たとえ愛情がなくとも

萌の住む家から車で三十分ほど走り、晴臣のマンションに到着した。

都心とは思えないほど緑豊かな敷地内に南棟と北棟の二棟のマンションが建っており、晴臣の部屋は南棟にある。

坂の多い土地柄かメインエントランスは二階に置かれ、コンシェルジュカウンターの奥には二棟の間にある大きな中庭を見渡せる一面ガラス張りのグランドラウンジが広がっていた。

さらに一階には住人専用のジムやパーティールーム、ゲストルームにプライベートデスクまで完備されていると聞き、萌は住む世界の違いに何度も驚かされた。

「どうぞ、あがって」

専用エレベーターで最上階の五階へ着くと、カードキーで解錠した晴臣に促される。

「お、おじゃまします」
「まずは傷を洗わないといけないし、どうせならそのまま風呂に入っておいで」
「えっ?」
「ここがパウダールームで奥がバスルームになってる。タオルはそこの棚のものを好きに使って。ドライヤーはここ」

初めて男性の部屋に入るのにも緊張しているのに、初っ端からバスルームを借りるなどハードルが高すぎる。

< 40 / 268 >

この作品をシェア

pagetop