美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

彼が続いて向かった先は、萌でも名前くらいは聞いたこともある高級アパレルブランド。

たしか玲香がワンピースやコートを買うたびに自慢していたような気がする。萌が着ている服とは価格の桁が違うのだろうと想像がついた。

「さて。萌はどんな服が好み?」

晴臣が萌に問いかける。

「好み……?」
「俺は昨日と今日の萌しか知らないから。普段はどんな服を着ているかとか、どんなテイストが好きだとか、聞かないと選びようがない」

『聞かないと選びようがない』と言うことは、萌の好みを聞いて、これからここで選ぶつもりだということだろうか。

そう思い至ると、萌は必死に首を横に振った。

これまで働いて得た給料のほとんどを家賃や食費といった名目で叔母に渡していたため、おしゃれに気を使う余裕などこれっぽっちもない。

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