美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
たしかに彼の言う通りだ。
唐突な話に驚き、正直に言えば今も頭がついていっていないが、晴臣からの結婚の提案に頷いたのは萌自身。あの家から出たいがために決断したのだ。
『私なんか』と無意識に卑下してしまうのは長年虐げられて育ってきた弊害だが、だからといって相手を不快にする癖をそのままにはしておけない。
このままではいけない。変わらなくては。そう思って自分で決断したのだから。
「すみません。気をつけます」
萌が素直に謝ると、晴臣はホッとしたように微笑んだ。
「俺もキツイ言い方をしてごめん。じゃあこの話はこれで終わりだ」
その後、やはり高級すぎる買い物に恐縮しつつも萌が好きだと感じた服を数着購入し、ふたりでランチをとった。
会った当初から感じていたが、晴臣はどこにいても目立つ。行き交う人がみんな彼を振り返らずにはいられないほど、その長身と端正な美貌は周囲の目を惹いた。