美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

「これからは萌がひとりで頑張る必要はない」

晴臣はそう言うと、真っすぐに萌を見つめた。

「結婚をすれば俺は君の夫だ。今後は必ず俺が萌を守るよ。もう昨日みたいな思いは絶対にさせない」
「晴臣さん」
「始まりは変わった形の結婚かもしれないけど、互いに歩み寄りたい。いい夫婦になれるよう努力したいと思ってる。君は?」
「私は……」

いい夫婦と聞いて思い浮かぶのは、仲睦まじかった両親の顔。互いを思いやり、足りない部分を補い合う、娘の萌からみても理想の夫婦だった。

両親は恋愛結婚だと聞いているため自分たちとは違うが、それでも晴臣は努力をしようと言う。強要するわけではなく、こうして萌の意思を確認してくれる。

萌を対等に扱ってくれる晴臣とだからこそ、いい夫婦になれるよう努力をしたいと、萌も強く感じた。

「私も、いい夫婦になりたいです」

まだ具体的になにを努力したらいいのかわからないけれど、それでも自分にできるならどんなことでも頑張ろうと思える。たとえこの結婚が、互いのメリットのためだとしても。

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