美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く
「どうしたんですか?」
「ここに来てから、顔色がよくなったなと思って。それに、よく笑ってくれるようになった」
たしかにその通りだと自分でも思う。晴臣と同じベッドなのは緊張するけれど、あの家で萎縮しながら暮らしていた頃よりもぐっすり眠れている。
思考を放棄し、極力感情を表に出さないようにと自分を押し殺すのをやめ、反対に自分で考えるよう意識し始めた。
それは晴臣が萌の意見を聞こうとしてくれているのもあるし、このままの自分ではいけないという危機感もあったからだ。
それが笑顔に繋がっているかはわからないけれど、心の枷が取れて、格段に息がしやすくなった。それは間違いなく晴臣のおかげだ。
改めてお礼を伝えたいと思うものの、至近距離で顔を覗き込まれ、恥ずかしさに視線を逸らす。
「萌?」
「は、晴臣さんから近くで見つめられると、ドキドキしてどうしたらいいのかわからなくなります」
思ったことを正直に告げると、彼は息を呑んだ。