美貌の御曹司は、薄幸の元令嬢を双子の天使ごと愛し抜く

「……そういう君の素直すぎる反応に、俺もどうしたらいいかわからなくなる」
「え?」
「本当にお互いメリットになると思って提案しただけだったんだけど……困ったな」

目の前の彼は片手で目元を覆い隠し、なにやら困っている様子だ。けれど、萌にはその原因がまったくわからない。

「晴臣さん?」
「いや、それよりタルトはこれで全部?」
「ホールで作ったからたくさんありますよ。おかわりしますか?」
「そうじゃなくて、萌の分も持っておいで。一緒に食べよう」

彼から「その方がもっと美味しいだろ」と誘われ、萌は無自覚に満面の笑みで頷いた。


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