始まりは愛のない契約でしたが、パパになった御曹司の愛に双子ごと捕まりました

自分の本音を自覚すると、鏡を見なくてもわかるほど顔だけでなく耳までも真っ赤に染まり熱くなっていく。

彼の問いに頷くだけでいいのだろうか。それとも心に芽生えた恋心を打ち明け、抱いてほしいと告げるべきなのだろうか。

そう考え、はたと気づく。

(晴臣さんは、私をどう思っているんだろう?)

『抱いてもいいか?』と聞かれはしたが、好きだと好意を示されたわけではない。

この二ヶ月、一緒のベッドで眠っていたにもかかわらず、キスどころか手を繋いでもいない。

彼は端正なルックスに桐生自動車の御曹司という肩書きがあり、さらに本人の性格もよく非の打ち所のない男性だ。きっと彼のそばには可愛くて綺麗な女性がたくさんいたのだろう。

いくらここ最近は健康的な体型になってきたとはいえ、貧相な身体と言われる萌を相手にそんな欲を抱くとは思えない。

だとしたら、今の彼の発言の真意は?

そう考えた時、ひとつの仮定が萌の脳裏に浮かぶ。

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