痛い痛い、恋をした。
だから、今日…別れを告げるの。


『今までありがとう…さようなら』


それだけで、いい。

言い訳は聞かないと決めている。
勿論、それが正論だとしても…縋る言葉だとしても。


妖艶かつ、冷静で熱を持った視線を携えて、あの人を真っ直ぐに見つめたまま、微笑もう。


もう、涙は枯れ果てた。


ワンピースの上に羽織った薄いストールをきゅっと手で握り締めて…私は一瞬だけ瞳を閉じた。


愛は24時保たない。


誰かがそう言っていた。

それが、あの頃はなんでなのか分からなかったけれど…。


今なら分かる。


愛には消費期間があるのだ。
試されれば試されるだけ、絶望と一緒に私怨で潰されそうになる。

それが耐えられなかっただけ。

それだけだ。


愛してる?

そんな薄っぺらい言葉は今更いらない。


形だけの接吻けだって、意味がない。


「ねぇ…?私、これでも貴方のことを愛していたのよ?」


薄く引いたリップが、少し歪んだ気がしたけれど、私はそんなことはお構いなしに前を向く。


淡々と。
ヒールの音をリズム良く鳴らしたままで。


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