前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
嫉妬、驕り。
若僧に何が出来る…そう思っていただろう。
でも、経営状況は、俺の判断で、右肩上がりに結果を出してきた。

それも、若い世代の意見を取り入れて、新しい事にチャレンジしている。
年齢関係無く、結果を出した従業員に対し、公平に評価し、管理職に抜擢している。
負けじと、現管理職も必死だから、相乗効果をもたらしている。

ただ、この人の場合は…
追い抜かれる前に、早く役員昇進を掴み取りたいのが目に見える。
何色にも染まらない黒は、彼のオーラをあっという間に、飲み込んでしまった。

「部長。貴方は課長の補助に徹し、大木さんの会社が、どれだけ素晴らしい技術を持ち、彼が人格者であるかを私に報告してください」
「私が、ですか?」
「そうです。但し、間違ってる判断をした場合、あるいは、権力を翳した時は…もう、貴方なら、私の事は分かってますね?私は、父ほど甘くはありませんよ」

部長はその言葉を理解したのか、肩を落とし、力なく答えた。
「分かりました。私は、何処で間違ってしまったのか…」

ずっと、父の経営方針について来た人だ。必ずその頃に戻れるはず。
「貴方が今まで培った、本来の目で見た報告を、楽しみにしています」
部長の俺を見る目は、力強い目力に変わり、深々と頭を下げた。
情熱の赤か…覚悟を決めた部長の背中を見送った。
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