前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ

ゆっくり椅子に腰掛けると、大きく一呼吸して、話し始めた。
「僕達のような力ある者、それが強ければ強いほど、体中に熱いものが流れ込む。初めて感じる心地良さに、また求めたくなるんだ」
「そ、そうなんですか…」
「綾奈さん、僕の力はね、発する言葉が、音色として、その人の感情が分かるんだ。北斗は見る、僕は聞く。その違いだけで、同じ力だよ」
「私は、どんな音色ですか？」
「綾奈さんの声はね、ハープの音色を聞いているように心地良い。北斗が夢中になるはずだ」

北斗さんは、恥ずかしそうに、窓の外に目を向けた。
「北斗はね、静寂な森林の中に静かに流れる、澄み切った川のせせらぎのように心地良いんだ。さっきみたいに、地鳴りのような激しい感情は、初めてだけどね」
「人の感情を読むな」
「それは、北斗も同じだろ？」
「仕方無いだろ？見たくて見てるわけじゃない」
「だから、僕も同じだって」
2人は目を合わせて、微笑していた。

人が羨むような力を持つ人達は、決して幸せだけじゃない。
知らなくてもいい事が、否が応でも分かってしまうのだから…

「北斗より先に、綾奈さんに出会っていたらなぁ…僕はその場で、ハープの癒やしの音色が、高速にリズムチェンジするくらい、乱し…ンググッ…」
北斗さんが、ジョージさんの口元を塞いで、何を言ってるか分からない。
「ジョージ、いいか？綾奈に対する発言にも気を付けろ！俺の逆鱗に触れたら、もう２度と会わせない。いいのか？」
口を塞がれたまま、首を横に振るジョージさんを見て、北斗さんは手を離した。