前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
そして、帰国してから2週間後…
親族だけで執り行う、結婚式の日を迎えた。
扉が開き、北斗さんとバージンロードを歩く。
1番前には、北斗さんのご両親、星也がいて、祖父母がいて…
あれっ…どうして…

「綾奈のご両親だ」
北斗さんは、私に内緒で、祖父母の横に両親が椅子に座っているように、AIを使って映し出してくれていた。

「北斗さん、父と母に見てもらうって、こういうことだったんですね…」
「素敵なご両親だ。もちろん、今の綾奈があるのは、育ててくれたお2人のお陰だ。感謝しないといけないね」
「ありがとうございます…北斗さん」
「大切な人達に、2人の誓いを見届けてもらおう」
拍手の中、涙が止まらない私の背中を支えて、泣き止むまで待ってくれた。

式は順調に進み、指輪交換が始まる。
入り口の方を向いて待っていると、星也が小さな籠を持って、ゆっくりと私達に近づいてくる。

北斗さんに愛されて、目の前が七色に光ったあの夜。
きっと、星也は私のお腹に宿った。
2人の愛の証、星也を1人で育てることを決めたあの日。
陣痛が始まって、不安の中、星也を産んだあの瞬間。
その日に私を見つけて、北斗さんが会いに来てくれた。
星也が初めて歩いた時、3人で抱き合った感動。
沢山の想い出が駆け巡る。

星也が2人の元にたどたどしく来た瞬間、目を潤ませる北斗さんは、星也を抱き上げたあと、私も抱きしめ、2人を包み込んでくれた。
「綾奈、星也、家族になってくれて、ありがとう」
頷いてただ泣いている私を、星也が頭を撫でてくれて、感動の結婚式は、忘れられない想い出として、心に刻まれた。
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