前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
「失礼します」
彼女が入って来た瞬間、ドクンと音を立てるほどに、胸の鼓動が跳ねる。
近くで見る彼女が放つ、混じり気のない、輝く純白のオーラに引き込まれる。
そして、初めて会うのに、何処かとても懐かしい。
何故だ…血が騒めく。

華やかさも無く、色白で愛らしい顔立ちは、年齢よりも幼く見える。
今まで関係を持った女性達は、艶めかしい女性達。
まさか、全く正反対の女性に、心揺さぶられるなんて…

本当は秘書なんて、必要ないんだが…
秘書に採用することを伝えると、彼女は、目を丸くして、俺を見た。

話をすると、戸惑う彼女が時々、見せる、愛くるしい笑顔に、初めて湧き上がる感情を抱く。
「ご指導よろしくお願いします」
その言葉にホッとした。

「秘書でしたら、1人暮らしの家は、会社から近い方がいいでしょうか?」
「家は用意しますよ。秘書として直ぐに私と行動出来るように、隣の部屋を準備しましょう」
冷静な俺が、隣に住む案を本能のままに、口に出してしまった。

「あの、お家賃はいくらでしょうか…」
「私有物件ですので、家賃はいりません。如何ですか?」
「ありがとうございます!祖父母に仕送りしたいので、助かります」
穏やかに微笑む彼女のオーラは、純白が更に輝く。
純白のオーラ『純粋・清廉潔白』は、見た目通りだ。

「仕送りですか?」
「はい。私、両親を早くに亡くして、祖父母に育てられましたので、恩返しがしたくて」
「そうですか…きっとその優しさに、お喜びになるでしょうね」
< 12 / 112 >

この作品をシェア

pagetop