前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
それから、富田さんが帰って来て、荷物が運ばれている時に、
「どうかな?部屋は気に入ってくれたかな?」
宇河社長が、ドアから顔を覗かせた。

「はい、ありがとうございます。こんな素敵なお部屋を申し訳なくて…」
「だれも使って無いからね。遠慮しなくていいよ」
「社長、荷物の搬入は終わりました。では、星部さん。私はこれで失礼します。あぁ、そうだ!今日の夕食は、コンシェルジュが19時にお持ちします。あと、冷蔵庫に飲み物やデザート、明日の朝食用にパンも用意していますから」
「ありがとうございます、富田さん」
「私は…いや、俺は朝早く出勤するけど、星部さんは、通常の出勤時間でいいよ」
「はい、では、明日から宜しくお願いします」
「こちらこそ」
ドアが閉まり、思わずため息が出た。

まるで、異世界に迷い込んだ気分…
フワフワして、一生分の幸せが、今、この時に集中しているんじゃないかと思う。

私、大企業の社長秘書なんだ…
それも、あんなに素敵な社長の傍で仕事するだけじゃなく、隣に住むなんて…

翌日、初出勤の準備をし、シャツの袖に腕を通して、ボタンを留めながら鏡の前に立つと、手が止まった。
胸の谷間にある、拳くらいの星形の痣…
お母さんは、背中の真ん中にあったらしい。

痣は大人になるにつれ、色が濃くなってきた。
こんな痣、遺伝しなくていいのにって、思ってたけど、誰かに見せることも無いし、あまり気にしなくなった。

「あっ、こんな時間!」
秘書になる私が、初日に遅刻でもしたら…
社長に合わす顔が無い。
慌てて玄関に行き靴を履くと、昨日何度も確認した、マンションの入り口まで迷わずに向かい、駅へと駆け出した。
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