前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
1度きりなら、社長に黙っていれば分からないかも…
あぁーっ、やっぱりダメっ!社長に嘘つくことは出来ない。

「社長、実は…」
掛井さんに誘われたことを、正直に社長に伝えた。
「今日、彼は会議にも参加していたけど、君を騙すような人じゃ無いのは分かったよ」
「尊敬してましたし、お世話になったので、断るのも申し訳なくて…」
「俺は監査人達と打ち合わせだから、良かったら、行き先だけ教えてくれるかな?」
「も、もちろんです」

私は、お店の場所と名前を、社長に報告した。
社長はそのメモをポケットに入れ、
「告白されたらどうする?」
低く冷たい声と想像もしなかった問いに、戸惑う。

「告白…掛井さんはそんなこと…」
「まぁ、決めるのは星部さんの勝手だけどね」
社長は、自分のデスクに向かい、腰掛けると書類に目を通し始めた。
冷たく突き放されて、胸がギュッと締め付けらる。

「あの…何かする事があれば」
「何も無いよ。約束があるだろ?」
「では、お先に失礼します」
「あぁ、お疲れ様」
私を見ることなく、書類を見ている。
いつもなら、どんなに忙しくても、笑顔を向けて挨拶してくれるのに…

どうしてかな…凄く寂しい気持ちになる。
君がいなくても大丈夫だって、突き放されたような気がする。
頭を下げて、秘書室に戻り、お店へと向かった。
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