前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
「星部さん、こっちだよ」
ゆっくり話をしたいからと、個室を予約してくれた掛井さんが先に来て、待っていた。
「お待たせしました」
社長との事が頭から離れず、複雑な気持ちだったけど…
入社した頃からの話をすると、掛井さんに守られていたんだって、改めて認識した。

「掛井さんには、お世話になりました」
「星部さんは、素直だし、吸収力が秀でていたよ」
「そ、そんな…掛井さんのお陰です。初めての上司が、掛井さんで良かったです」
「僕は、星部さんだから、手をかけたんだよ」
掛井さんの真剣な眼差しに、何故か社長の顔が過ぎった。

私がこうして掛井さんと、昔話をしてる間も、仕事してるんだよね…
隣に住んでいても、マンションで会うことは無い。
私より早く出勤して、私より遅く帰る。
社長、まだ打ち合わせなのかな…
私、社長のことで頭がいっぱいだ…

あっ!もうこんな時間になってるなんて。
「もう、そろそろ帰らないと」
「送って行くよ。危ないから」
「あっ、送らなくて大丈夫です」
「ダメだよ。心配だから」
「…あの、色々諸事情で…」
「彼氏が待ってる…とかかな?」
「ま、まさかっ!彼氏なんていません!」
「そう…良かった。お店を出よう」

掛井さんが会計を済ませて、外に出ると、
「あのさ…辞める時に言えなかった事なんだけど、もう上司じゃ無いからいいかなと思って、誘ったんだ」
今までに見たことが無い掛井さんから、目が離せない。
「実は…僕は星部さんのことが」
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