前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ

パーティー会場に行くと、さっきまでの優しい顔つきから、一気に社長の雰囲気が変わる。
凜とした、会社で見る引き締まった顔つきに、品格と貫禄を感じるオーラを纏う。

会場には、会長と同じ年代の人達が沢山いて、談話していた。
「宇河社長！今日は、会長の代わりかい？」
「ご無沙汰しています。父はこの後の食事会から参加します」
「宇河社長、久しぶりだね」
「宇河社長。お会い出来て光栄です」
社長の周りに、あっという間に人が集まってきた。
代わる代わる色々な人が、挨拶に寄って来た。

私が秘書って気付かれたら、社長に恥ずかしい思いをさせるかもしれない。
私はそっと、壁際に行こうとした時、
「紹介します。4月から私の秘書を務めています、星部です」
社長の紹介で、皆の注目を浴びた。

「は、初めまして、秘書の星部と申します」
「これは…素敵な秘書の方を採用されましたね」
「大変でしょ？宇河社長の秘書は」
沢山の人に詰め寄られて、目が回りそう…

「宇河社長が見初めるくらいだ。どこの大学のご出身ですか？海外留学はどちらで？」
「品性からして、何処かのご令嬢ですか？」
「あ、いえ…私は…」

次々に質問され、私が答えに困っていると、
「皆さん、それくらいでお許しください。皆様にご挨拶だけで、愛想が無く大変申し訳ありませんが、私はこれで失礼します」
そう言って、私の背中に手を当て、社長は歩き出し、私は「失礼します」と、頭だけ下げて、社長に誘導されるまま歩いた。