前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
いつも俺が会議室に入ると、一瞬でピリッとした空気に変わるが、今日は、皆の様子が、一段と緊張している…
「何かありましたか?」
声を掛けると、開発部長が俺の所に駆け寄って来た。

「社長、私はもう少しで大変な損失を与える所でした」
「吉田製造が、不当労働をさせていた挙げく、多くの若手技術者が退職を申し出ている…件ですか?」
「ご、ご存じでしたか…先見の明が無く、申し訳ありません。あと、大木製作所の技術は大変素晴らしいものでした。大木社長も人格者で、従業員が社長のためならと…」
「ご報告ありがとうございます。下がって結構です」
「は、はい」
開発部長が席に戻ると、そのまま話を続けた。

「今日の会議は予定変更です。人事部長は、直ぐに大木製作所で技術者の求人を出して下さい。吉田製造の技術者の登録があれば、直ぐにスカウトしてください」
「承知しました」
「開発部長は、顔見知りで退職者がいれば、ヘッドハンティングしてください」
「直ぐに取りかかります」
「併せて、必要な人件費と受け入れに掛かる予算を試算し、技術開発の一環として、上乗せ投資するように。工場や機器の増設が必要なら、企画部と法務部は対応するように」
「私が責任を持って、指揮を取ります」
「役員は、各部長をサポートしてください。私も、今から大木製作所に向かいます。以上、今日の会議は終了です。宜しくお願いします」

「では、早速、話をまとめて、スケジュールを詰めましょう」
開発部長の言葉を皮切りに、直ぐに皆が話し合い、色々な意見が飛び交った。

今日は、出来れば綾奈と食事をしたかったが…
またお預けだな…
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