前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ

「綾奈…綾奈？」
声を掛けられてゆっくり目を開けると、北斗さんが覗き込んでいた。
「おはよう。俺はもう会社に行くから、綾奈は昼からおいで」
「北斗…北斗さん！」

私、愛された後、そのまま眠って、北斗さんの部屋に泊まったんだ！
「す、すみません！寝坊しちゃって！」
現実に引き戻され、慌てて起き上がると、
「朝から俺を誘ってる？」
その言葉に、自分が裸なのに気付いて、思わず布団の中に隠れた。
「い、いえ…そういうわけでは…」
「可愛いな…本当はこのまま抱きたいんだが、もう行かないと」
私が布団から顔を出すと、北斗さんは、頬笑みながら頭を撫でる。

「スペアキーは玄関に置いてるよ。それと、今日からは、ここの部屋で一緒に生活するから、必要な物はこっちに持っておいで。隣は荷物置きとして、自由に使えばいい」
「えっ？」
「嫌か？」
「い、いえ…」
「昨日言ったろ？毎日抱くって」

た、確かに言ったけど…
毎日昨日の夜みたいなことを…
頭から湯気が出てるんじゃないかと思うくらい、恥ずかしくなった。

「じゃあ、また後で」
軽くキスをすると、鞄を持って出て行った。

はぁ…まだ夢の中にいるみたい…
北斗さんに愛されている時、一瞬、違う世界に迷い込んだ気がした。
とても懐かしく、薄暗い部屋はロウソクの炎のように揺らぎ、お香の香りが一瞬鼻をかすめたように…
あまりに幸せ過ぎたから、夢心地だったのかな…

私は部屋を見渡した。
昨日、部屋を見る余裕も無かった…
今日から、この部屋で過ごすんだ。
北斗さんが用意してくれた朝食を食べたら、最低限の物だけ持って来よう。
もし…もしも、北斗さんに嫌われた時は、直ぐに引っ越し出来るように…

どうか、そんなことが訪れず、少しでも長く、シンデレラでいさせて下さい。