前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
化粧室を出て会場に向かっていると、
「星部さん、待っていたよ」
声がする方を見ると、にっこりと笑いながら、北斗さんが近づいて来た。

「北、あっ、社長」
「心配で見に来たんだ。本当に他の男について行ってないか」
「しません!霞条様と、妹の景子様とお会いしたから、少しお話しただけです」
それを聞いた北斗さんの顔が曇る。

「来てるのか…何か言われなかったか?」
「特には…また近いうちに、会いましょうってだけです」
「それならいいんだ。もう、帰ろうか」
「取引先の人達に、挨拶しなくていいんですか?」
「あぁ、もう挨拶して、何件かアポを取って来たし、長い時間いると疲れるからね」
「すみません…何もお役に立てず」
「助かってるよ。疲れる原因は、俺自身の問題なんだ」
「大丈夫ですか?どこか体調が優れないところ、ありますか?」
「あぁ、実はね…」
「はい…」
周りに聞こえないように、私の耳の近くまで腰を折り、
「綾奈不足みたいだ。早く抱きたくて」
囁くように呟いた。
「もぉ!こんな所で恥ずかしいこと言わないでください!」
「ほんと、可愛いな。会社に戻ろう。後で会長が参加するだろうから」
< 50 / 112 >

この作品をシェア

pagetop