前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
【神の目を持つ孤独な社長~北斗】
『同じ時代に生まれ変わった時は、どうか私を見つけて、妻にしてください』
悲しそうな声で、着物を着たその女性が振り向くと、いつも目が覚める。

またこの夢か…
今までに数回見たことはあったが、ここ最近、毎日のように俺の夢に現れる。
君は…一体誰なんだ?

宇河家は、不思議な力が受け継がれてきた。
遙か昔、特殊な力を持った一族達が存在し、決して表舞台には出ず、時代を担う者達の、陰の立て役者として力を注ぎ、人々の支えになってきた。

宇河家はその内の一族で、特殊な力を持ち、優れた才能で、その時代で大きな影響力を与えた。

その他にも様々な力を持った一族が存在していたが、子孫を残さず、力が受け継がれない一族。悪用を恐れ、誇りを守るために一線から退く決断をし、静かな暮らしを選択した一族もいる。
中には、次世代に伝えず、現世で自分の特殊な力さえ、気付かない者もいるらしい。

宇河家の特殊な力は、秀でた先見の明、経営の才を持ち、受け継がれた目の色で、経済界に大きな影響力を与えて来た。
今では、国のトップクラスの総合商社として、日本の経済界を支える企業にまで成長した。

宇河家の力は、第一子に受け継がれ、力を受け継いだ証は、右目の色に現れる。

亡くなった祖父は、炎のような赤い目を持ち、情熱的でエネルギッシュな言葉に皆が惹かれ、行動力と正義感で、信頼を得て来た。

父は、明るい青の目を持ち、誠実で、冷静な判断と、創造性豊かな経営手腕で経済界を盛り立て、今は会長として、国内外を飛び回っている。

父は、今では普通の目の色だが…
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