前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
今日は一緒に会社を出て、夕食の買い物をした後、家に着くと2人で食事の準備をし、楽しいひとときを過ごす。
平日に、こんな時間を過ごせるのは、初めてだ。

綾奈が俺を受け入れてくれるなら…
傍に居てくれたら…
ずっと、こんな幸せな日々を送れるのか…

片付けを終え、一緒にシャワーを浴びようとした時、電話が掛かって来た。
「綾奈、人事部長から電話なんだ。先に入ってて」

電話の内容は、吉田製造の話だった。
吉田製造を退職する技術者は、他の企業からも引く手余多だったが、全員、大木製作所に入社した。
大木製作所の技術と、社長の人柄、それに後ろ盾に、宇河HDがいるなら、安心だろう。

電話が終わり、シャワーを浴びた後、リビングに行くと、髪を1つに纏めた綾奈が、ソファで俺を待っていた。
テーブルにあるのは…料理の本か。

今まで1人で過ごした部屋に、2人で過ごす時間。
会話が無くても、綾奈がいるだけで、こんなに穏やかな夜を過ごせる。

「綾奈は、本当に料理が上手だな」
お世辞じゃ無く、何を食べても、俺好みで美味しい。
綾奈を育てながら働く2人のために、少しでも楽をさせたいと、食事は自分が担当していたらしい。

綾奈の横に座ると、
「北斗さんもですよ。1人暮らしだし、忙しいから、ずっと外食と思ってました」
笑顔で話す綾奈の言葉は、純粋さが出ている。

1人か…俺が他の女性と一緒に住んでいないことが、前提だな。
まぁ、確かに間違いないが…

今日の正人君の件で、俺の嫉妬心もくすぶってるし…
少し…試してみるか…
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