前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
許婚…それもあんなに素敵な人が…
だから、霞条様と会うと、いつも気にしてたんだ。
このことが、私の耳に入らないように…

立ちくらみしてきた…
あまりにショックで立っていられない。
今の話…北斗さんから連絡があったら、聞いてみないと…
でも、「そうなんだ」って言われた時、私は平常心でいられるのかなぁ…

しばらくソファで休んでいるけど、気持ちが悪い。
ウッ…吐き気が…
今週に入ってから、ずっとだけど…胃がムカムカする…
疲れかと思っていたけど、料理を作っていても、気持ち悪かった…

まさか…
それは無い…とは言い切れない。
一夜だけ、あの日もし…
考えもしなかったけど、そういえば、毎月決まった周期で来るのに、遅れてる。

帰りに薬局で検査薬を買い、家に戻ると、直ぐ確認した。
妊娠…してる。
どうしよう…

北斗さんには、許婚がいる。
家柄も女性としても、誰が見ても隣にいるのは、私じゃない。

北斗さんの立場を…
経済界にどれだけの影響力がある人なのかを…
ただ、愛する1人の男性として傍にいたくて、何も考えていなかった。

私はきっと、結婚するまでの、恋人なんだ…
遊び…だったの?
ううん、北斗さんはそんな人じゃ無い。
本気で、愛してくれた…

でも、愛はあっても…
北斗さんは、国内外に渡り歩き、その横に立つのが私だったら…
想像しただけで分かる。
私じゃダメなんだ。

北斗さんと愛し合った証…
北斗さんは、聞いた時、どんな顔するんだろう。

もし、喜んでくれなかったら…
私は…その時の表情を想像しただけで、胸が締め付けられた。

産むことは許されない。
北斗さんにそんな辛いことを、言わせたくないし、言われたくない。

北斗さんが出張の間に…目の前からいなくなろう。
この子を、北斗さんとの子を、誰にも知られずに育てる決意をした。
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