前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
「初めまして、北斗さん」
「どうぞお掛け下さい」
相変わらず、承認欲求が強い…いや、以前より増している。
オーラを見ていると、目が回るくらい、激しくうごめいている。

「何か面白い仕事の話でも、持って来てくれたのですか?」
「秘書の方が、退職されたと聞きまして、履歴書を持って参りました」
数百万もする派手なバッグから、履歴書を目の前に置いた。

俺は、感情を抑え、冷静に対応する。
「秘書は必要ありません」
「秘書がいなければ、色々と大変でしょう?益々、お忙しくなってると聞いていますよ」
「秘書は必要ない。その話はこれまでです。お引き取りください」
「北斗様…私は宇河家の社長夫人として相応しい女性になるように、教育されてきました。見た目も北斗様の隣に立って、恥ずかしくないよう、磨き上げています。どうして、私では無く、平凡な彼女なんですか?」

平凡…
人に対して、怒りという感情を起こすことが無かったが、綾奈に対する侮辱だけは、絶対に許せない。
怒りを抑えるために、黙っていると、彼女は追い打ちをかける。

「北斗様、私は絶対に彼女より、北斗さんを満足させます。ですから、私を妻に」
「私の逆鱗に触れた人は、初めてですよ。私が冷静なうちに、お引き取りを」
「どうして…どうして私ではダメなのですか?」
「貴女を初めて写真で見た時、オーラは、自分が目立ちたく、承認欲求で満ちあふれる濃いピンクでした。今は、それが激しく渦巻く中に、黒が包み込んでいる」
「わ、私は決して、そんな気持ちでは…本当に北斗様のことが」
「力を受け継ぐ忠君は、ご両親に期待されていた。きっと、愛情も、貴女以上に注がれていたでしょう」
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