前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ

【失う力、別れの真実～北斗】

綾奈がいなくなってから8ヶ月か…
不思議と綾奈に出会ってから、しばらくしてあの夢を見なくなったのに、また、着物の女性の夢を、毎日見るようになった。
一体…誰なんだ。

いつまでも、キッチンで「おはようございます」と、俺に笑顔を向ける姿があるんじゃないかと、期待してしまう朝。
俺の事が嫌になったんだ、そう言い聞かせて諦めようと、思ってはいるが…

今日は、大事な海外からの来賓がある。
いつものように、カラコンを付けようとして鏡を見た。
そして、指にカラコンを乗せて、付けようとした時、
「…えっ…どうして…だ？」
右目の色が…
七色が薄まり、左目と同じブラウンに変わっていく…
何故だ…

瞼を閉じ、ゆっくりと目を開ける…
やっぱり、ブラウンになっている…
今までどんなに疲れても、こんなことは無かった。

まさか…
綾奈…そうなのか？
もしかして、綾奈が俺の前からいなくなった、本当の理由は…

俺は慌てて、富田さんに電話した。
「富田さん、朝からすみません。至急お願いしたい事が」
「どうされました？」
「綾奈を…どんな手を使っても、資金を使っても構いません。今の時間、出産した星部綾奈が入院している病院を探して下さい」
「星部さん？そ、それって…」
「俺の子供を出産したはずです！」
「わ、分かりました！あぁ、でも、個人情報の機密が厳重な今、日本中の情報をくまなく捜すのは、難しいです。せめて、どこの地域か分かれば…」
「直ぐに綾奈の実家に連絡します」